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気管支喘息の治療

① 喘息は、アレルギーを起因として発症する、気管・気管支の慢性炎症性疾患です。病態としては、アレルギーを含む色々な気管の刺激によって気管支の壁が肥厚・気管支周囲の平滑筋収縮により、気管支が狭くなり、呼吸ができなくなる疾患です。

  喘息は極めて、一般的かつ重要な疾患です。最近は治療が行き届くようになり喘息死も減りましたが、それでも年間2000人近くが喘息死する状況です。それゆえ、生命保険加入時には、喘息病名があると入れない保険も多い現状は続いているのです。そして、上記のように突然死の原因になる以外に、治療が行われないと慢性的に気管支の炎症状態が遷延して、極めて重症な喘息に至る患者さんも中には存在します。一度重症化してしまった喘息は、極めて治療困難です。

  喘息は患者さんの理解がないと治療がうまくいかない疾患のひとつです。問題は発作が起こっていないとき(症状の無い状態でも、気管支に持続的な炎症を起こしておりますので、「症状が無いから治療はしなくてもいいや」という考え方は成り立たないのです。知らないうちのどんどん気管支が壊れていきます。

  だから当院は大変困っています。「症状が無いのに何で治療するんだ!!」といって、やっとコントロールしてこれからって時に、患者さんたちが三々五々外来から脱走します。それで悪くなるとその時だけ、来院されては、「ほら、ちりょうしろよ!」って、再来されます。悪くなって当たり前なのです。

  この喘息と言う病気を甘く見ないほうがいいですよ~。

② さて、当院では喘息はどう診断するかというと、案外患者さん自ら喘息を認識して来院される方は少なく、風邪の際に咳の症状で来院され、聴診で見つかる事が多い印象です。風邪の際にでる聴診所見と、上気道炎~気管支炎による気管支呼吸音・複雑音を区別するのは困難な場合もあり、疑われる患者さんは、重症発作で無い限りは、まず喘息と風邪の治療の両方を行うことが多いです。その際効果が上がり一時的に改善した患者さんには、咳や息苦しさ、喘鳴(ヒューヒュー・ピーピーいう)が出ないかどうか、注意して様子を見ていただくのです。再発があれば、喘息を疑い呼吸機能検査など行い判定するか、喘息の治療を先行して行い効果がある場合は喘息と判断することが多いです。本来はアレルギー起点から呼吸機能検査などすべて検査した上で診断すべきですが、患者数が多いと言うことと、むしろ患者さんも大変ですので希望のある方、当方が必要と判断した方に専門的な検査は行っております。むしろちゃんとやろうとすると、患者さんが来院されなくなる事が多いですね~。善良な患者さんは、ちゃんとやっていきましょう!

  

③ では当院での治療ですが、現在の治療の主体はステロイドホルモン剤(以後ス剤)の吸入治療です。ス剤の吸入は気管~気管支の炎症を抑える事によって、喘息の発作に有効的に働きます。また、長期間続ける事によって、気管支が炎症で壊れていくのを防ぎます。過去には、ステロイドホルモン剤は、内服または点滴にて使用されていましたが、副作用が強いため、現在点滴・内服は短期間でやむをえない重症発作にのみ使用する考えが一般的です。点滴や内服で使用されるス剤の量は、例えば内服で5mg~20mg/日、点滴で40~250mg/回ですが、吸入は一日多くても1600μg/日で収まります。使用する容量が桁違いに少ないわけで、副作用は無いのもうなずけるわけです。​ス剤にもいろいろあり、ス剤には力価が存在します。同じ吸入量でも効果が2~3倍違うものも存在します。当院では、これらの特徴を踏まえて、最良の吸入治療を提案いたします。

 ス剤以外の治療薬

 β2刺激薬(以後β);気管支を拡張させる作用を持つ薬です。ス剤の効果は、発現には諸説ありますが6時間程度と考えるべきですが、このβはほぼその場で効果がでます。動機・手の振るえ・筋肉酵素の上昇などの副作用もまれにありますが、殆ど問題になりません。一方で単独での仕様は控えるべきで何らかの抗炎症効果のある喘息薬と併用する事が推奨されます。過去に単独の仕様によって突然死との関連が指摘された事があります。投与経路も吸入が主流ですが、内服・貼付剤が存在します。お子さんの咳~気管支炎にも使用されているホクナリンテープはそれです。

 抗コリン剤(以後コリン);昔からタバコ肺・慢性肺気腫で使用されていたお薬ですが、こちらも喘息に有効です。当院では基本的には上記の治療で十分な効果の得られない患者さんに使用してとても良い感触を得ています。

 キサンチン製剤;一応過去の薬となってはいますが、これは作用機序が明らかでない事と、外国人さんには効果が低い事が理由で、日本人では有効なケースが多いため、時折使用します。当院でもほかの薬の増量・上乗せよりはよほど良い治療である事も多く、患者さんを選んで使用しています。

 ロイコトルエン拮抗剤(LTRA);良く、ステロイド吸入を使わない段階の小児にもよく使用されます。ス剤以外で気管支の抗炎症作用を持つ貴重なお薬で、とても有用と言えます。当院でも殆どの患者さんで使用します。

 他、どうしてもコントロールの困難な患者さんには、高価ではありますが、生物学的製剤も出てきており、必要な方は大学に紹介します。・・・・いままでコントロールできないケースがこの6年間にありませんでしたので、必要なかったですけどね!

アレルギーの確定がしにくい重症ケースでは、気管支温熱療法も大学に依頼出来ます。興味本位や冷やかしの紹介はいたしません。善良な患者さんの受け入れが困難になる事があります。

 などなど、多少裏技も駆使します。

④管理によくある、自宅でのピークフローメーターの使用につきましては、非常に良い観察法ですが、わずらわしいのでなかなかお勧めしてもやってくれない患者さんが多く、半ばあきらめているかもしれません。・・・・・やりたいけどな~。長続きする人がいません。理解ある善良な患者さんを求む。 

やる気がある人はおしえてね!準備はしてあります。​

​あ、喘息だけなら小児も見てますよ~、ちゃんとした治療したい方はどうぞ。

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