肺がん健診は、胸部CTをどうぞ!
今年2月に出た、肺がん健診の記事を紹介いたします。
以前にもお書きしましたが、通常の肺がん健診は、年に一回胸部レントゲン検査+喀痰検査を行うプログラムで行い、本邦では何とか肺がん死亡率をわずかながら減少させており採用となっておりますが、海外では肺がん健診自体の効果は認められていないという状況になっています。
診断するそれぞれの医師の読影能力に左右されますし、安定した評価は得られにくいのです。胸部レントゲンは、実は読影がとても難しいのです。
では、胸部CTでの検診はどうでしょうか?
それでは、引用です。

りう君はCTのガントリが大好き・・・・・・
CT室を開けると飛び込んできます(*´∨`*)
低線量CT検診、肺がん死亡リスクを51%低減
日立市コホート研究
第26回日本CT検診学会(2月8~9日)で開かれた記者会見で、大会長で日立製作所日立総合病院(茨城県)総合健診センタ長の名和健氏は、茨城県日立市市民を対象に低線量CT肺がん検診受診者とX線検診受診者を追跡した後ろ向きコホート研究の結果を公表した。X線検診に比べ、低線量CT検診では肺がん死亡リスクが51%減少、CT検診が肺がん死亡に効果があることが分かった。 Jpn J Clin Oncol(2019; 49: 130-136)に掲載
肺がん罹患は23%増加 肺がん死亡リスクは51%低減
日立市では1998年に職域、2001年には地域と総合健診で低線量CT肺がん検診が導入されている。今回の研究では、2006年までに1回以上低線量CT検診またはX線検診を受診した50~74歳を2012年末まで追跡した。症例数はCT検診群が1万7,395例、X線検診群が1万5,548例。
性、年齢、喫煙歴を調整した多変量解析の結果によると、X線検診群に比べCT検診群では肺がん罹患リスクが23%増加(ハザード比1.23、95%CI 1.00~1.51、図)した一方、肺がん死亡リスクは51%と大幅に減少した(同0.49、0.34~0.70)。また、CT検診群では全死因死亡も43%減少していた(同0.57、0.52~0.62)。肺がん罹患リスクがCT検診群で増加したことに関して、名和氏は「観察開始から2年間で特に罹患が増えた。CT検診の高い検出能力を示している。過剰診断が含まれている可能性はあるが、他の研究と比べ過大とはいえない」と考察した。
図. 累積肺がん罹患数と累積肺がん死亡数
